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林 理子インタビュー

土を練り、形作り、焼く……陶磁器は非常にシンプルであるがゆえに、産業として成り立たせるためにはある程度の量産化をするか、作り手の個性を打ち出した「一点もの、作家もの」を目指すかになりがちである。ここ江戸川区で小岩の土を使った焼き物「甲和焼」を生みだした林信弘さんを父に持つ理子さんは、陶芸の世界へ飛び込んで約11年。「量産品と一点ものの間」を目指したオリジナルの器が、いま新たなファンを獲得している。

――東京で親子二代で陶芸家をされている。珍しいケースなのでは?
「よく言われます(笑)。いわゆる陶芸産地ではない東京で、親子二代で陶芸に携わっているというのは、たしかに珍しいかもしれませんね。この地で父と工房兼ショップを構えているからこそ、日々ダイレクトにお客様の反応が分かり、器づくりに生かせます」

――幼い頃から陶芸家になりたいと?
「いえいえ、それこそ思春期の頃は父親が陶芸家だと話すのが嫌でした。『お父さん家で作務衣着てるの?』なんてからかわれたりするから(笑)」

――いつ頃から意識に変化が?
「人の衣食住に携わる仕事をしたくて、専門学校の建築研究科に進学しました。卒業後は大学の施設部に就職しましたが、5年くらい経ったときに『手を動かしてモノづくりをしたい』『生活のプラスになるデザインをしたい』と強烈に思い始めてしまったんですね。悩んだ末、父に、わたし陶芸をやりたいと話しました」


――お父様はどんな反応を?
「いいんじゃないと軽い感じで1つ電気窯をくれました。でも、全然教えてはくれなかったです。親子でも手の形が違うから、自分のやりやすい方法を見つけなさいと言って。それが良かったのかもしれません。陶芸を本職にしたい、5年以内に陶芸で生計を立てられるプロになろうと目標を決め、2005年にnicoricoという屋号をつくりました。幸いなことに、サイトにアップした初めて焼いた作品を見た西荻窪のギャラリーさんが、うちで個展をやりませんかと声をかけてくださって。半年後に初の個展を開催したことが自信になりました。その後、色々な経験を積んで、仕事を辞めて陶芸一本になって、今年で8年になります」

――屋号の意味は?
「使ってニッコリなってくれればいいなという思いと、自分の名前を合わせました。陶芸家は本名や窯の名前を屋号にする方が多いのですが、もう少しブランド的な屋号にしたいと思って」

――どんなモノ作りを大切にしていますか?
「父が信念としている作陶への真摯な態度は受け継ぎつつ、でも、わたしが好きなアパレルとかファッションの要素をミックスしたいと思っています。1点ものだと値段が張ってしまうので、1点ものと量産品の間にあるようなものを作りたいなと。それにはどうしたらいいか、模様や形の展開をシリーズ化して、基本的に手作りで一点ものだけど、同じものをもう1つと注文が来てもすぐ出せるというコンセプトにしました」



――北欧の生活雑貨などでは手作り品のシリーズライン化は見ますが、日本では珍しいですね。
「基本的には、自分で良いと思うものを作り、その中から個展などでお客様の反応が良かったものを中心にライン化しています。ドット(水玉)、ボーダー(縞)、花と3つのラインがあり、全部で10前後のアイテムを揃えています」

――作品がカラフルで可愛いですね。
「nicoricoの器を覚えてもらうためには、あまり人がやっていないことをやるしかないと、試行錯誤を重ねて今の作風にたどり着きました。一般的に焼き物は破損のリスクを下げるため、ろくろで成形した後はあまり手を加えずに乾燥させて焼成します。わたしはあえて乾燥している途中に細工をします。たとえば線刻したあとに、色粘土を何層にも塗って盛り上げています。こうすると着色部分に膨らみが出て、色鮮やかな器になります」

――nicoricoのファンは何を選んで買ってくれていると思いますか?
「他に見ない作風だと言われることが多いです。また最初は色や模様をあげてくださる方が多いですが、リピーターの方は、陶器なのに重くない、持ちやすい、電子レンジや食洗器でも使える、収納しやすいと言ってくださいます。毎日の生活に取り入れてほしいので、基本的にスタッキングできる形にしているのが良いようです」

――現在の活動は?
「工房兼ショップで父と一緒に作陶と販売をするほか、ネットショップでの販売や百貨店での企画展、引き出物のお品のオーダー品、日本茶アーティストの方とのコラボレーションなど、臨機応変にいろいろチャレンジしています」

――ご自分にとって陶芸とは何でしょう。
「わたし自身でしょうか。父と母は高校の同級生同士で結婚して、陶芸家を目指した父を母が支えてきました。わたしは父の器で赤ちゃんの頃からごはんを食べ、生きてきています。わたしの器も誰かのそんな存在になれたら嬉しいです」

構成:宮坂敦子

林 理子(はやし・あやこ)/

昭和51年 江戸川区生まれ
平成11年 東京・神田駿河台文化学院建築研究科卒業
平成17年 陶芸家の父に師事し、本格的に作陶活動をはじめる

1976年東京都生まれ。文化学院建築研究科を卒業した後、大学職員として建築関係の仕事に就く。05年、陶芸家の父に師事し、本格的に作陶活動をはじめ、同年nicoricoをスタート。個展やグループ展、百貨店での企画展で作品を発表・販売する。


紋花彩泥掻落 naminami cup
紋花彩泥掻落
naminami cup
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紋花彩泥掻落 マグカップ
紋花彩泥掻落
マグカップ
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紋花彩泥掻落 茶碗(小)
紋花彩泥掻落
茶碗(小)
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紋花彩泥茶碗
紋花彩泥茶碗

紋花彩泥茶碗

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